Arichitecture of Resistance
01 October 2018
 

経済発展とともに、都市の形も急速に変容している北京。
古きよき文化が失われることに警鐘を鳴らすのは、建築家たちだった。

建築家たちが挑む「22世紀のスクラップ&ビルド」

森裕子=文
text by Yuko Mori
ステフェン·チョウ、ショ一ン·コウ=写真
photographs by Stefen Chow. Shawn Koh


文化的な発展を担う

「建築家には少なくとも2種類ある。ひとつは仕事としての建築家。もうひとつは社会や文化匕に貢献する建築家。私は、後者でありたい。稼げるかどうかはあまり重要な問題ではありません」

そう語るのは、「ZAOスタンダ一ドア一キテクチャ一」プリンシパルチャン·コ一(張軻) だ。ZAOはBコ一プの一員ではないが、PAO同様に社会貢献を強く意識した建築事務所である。

ZAOのプロジェクトには美術館や公営住宅などのほかに、将来を見据えた実験的な建築もある。たとえば、木造の四角い箱のようなもの。「微胡同(マイクロフ一トン)」と名付けられたそれは、胡同内のたった3の㎡のスぺ一スを立体的に活用し、中庭付きの住宅をつくるプロジェクトだ。

チャンは、 北京の胡同の問題を長く気にかけてきた。

「この20~30年、北京の胡同では改造が行われてきましたが、ここ20年間の破壊は最も大きかった。しかし問題だとわかっていながら、ずっと放置されてきました」

ZAOはl3年から2年間、清華大学やハ一バ一ド大学等の学生と、夏休みを使って四合院の調査を行い、そこに児童図書館や芸術センタ一をつくった。その過程で「微胡同」を設計、建設したのだ。夏は空調を使わずとも涼しい空気が建物内を循環し、木の香りが心地よい空間。

「子どもから高齢者までが一緒に交流できるよう、地域に根づくかたちで活用しています」

チャンはハ一バ一ド大学で教鞭をとっており、16年には日本の1960~70年代に興った建築運動「メ夕ボリズム」に着想を得た「胡同メタボリズム」という授業も行っている。

「生物の細胞が次々に入れ替わっていずれは全身が新しくなる新陳代謝(メタボリズム)のように、少しずつの変化が重なれば都市や社会に大きな影響を及ぼすことになる。たとえ小さなプロジェクトでも、社会への貢献度は大きなものになりうるのです」

さらにチャンは「伝統的な建築家をやっていくつもりはない」と話す。クライアントから依頼された建築物に取りリ組むだけが建築家ではない。社会が抱える問題を見極め、解決するような仕事をすることで、社会を変えることができると、チャンは信じている。

「私たちが時間の30~50%を社会の二一ズのために使えば、お金は儲からなくても社会の重要な問題を解決することができるのです」
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